「風立ちぬ」は、スタジオジブリのアニメーション映画作品で、公開は約10年前で2013年7月20日です。
物語は実在する航空技術者の堀越二郎を主人公とした作品でありつつ、さらに堀辰雄の自伝的小説からも着想を得て作られています。
今回は、風立ちぬの主人公のモデルとなった堀越二郎と作中での年齢、そして「ひどい」と言われてしまう理由を紹介します。
また、特高に追われる理由や最後死んだかもしれないことについても考察します。
タダで見る方法はこちら↓「風立ちぬ」を見た後に他のジブリ(宮崎)作品…特に初期のを見返すとなんか見え方が全然違うなぁ。
— 矢島 康祐 (@yajiyasu) September 14, 2013
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「風立ちぬ」の主人公のモデルとなった堀越二郎を紹介!「ひどい」と言われる理由は?
まず、風立ちぬの主人公のモデルとなった堀越二郎について紹介します。
実際の堀越二郎は、1903年生まれで1982年に亡くなりました。
太平洋戦争は1941年にはじまっていますから、二郎がゼロ戦を設計している時代は二郎が30代の頃になります。
東京大学の工学博士であり、三菱の航空技術者としてゼロ戦を設計しました。
「風立ちぬ」は堀辰雄の私小説であり、主人公である「私」が重い病におかされている婚約者に付き添い、やがて来る愛する者の死を受け入れ、2人の限られた日々「生きる」ということ意識しながら共に生きる小説です。
そして、死と生を意識することによって幸福感を感じていくというものになっています。
その「風立ちぬ」の主人公「私」を堀越二郎にあてはめてオリジナルアニメとして製作したのが映画「風立ちぬ」です。
堀越二郎は、東大卒でゼロ戦の設計者ということで実在する偉大な人物なのですが、「風立ちぬ」の中では、「ひどい」という意見がいくらか見受けられます。
堀越二郎は小さいころから飛行機が大好きで、飛行機のこととなるとまわりが見えなくなってしまう人物です。こういう趣味人は現代でもよく見かけますよね。
二郎は、本当にいついかなる時も、「美女」と「飛行機」にしか関心がないですね。
他人の気持ちをまず思いやる人をいい奴だとするなら、間違いなくひどい奴です。『風立ちぬ』は「俺はこういうひどいヤツですが、自分の出来得る限りに懸命に愛しました」と云う映画です。
「男」からの遺言です。 pic.twitter.com/H6i0R7VnLt
— 田中ユタカ@愛ある漫画 (@tanakayutak) April 12, 2019
ジブリは風立ちぬが好きだな。主人公もヒロインも自己中でエゴだけど美しいから仕方ないって感じがいい!
— ま〜め〜とラクーン (@mametoraccoon) June 15, 2021
風立ちぬ久々に観たけど、二郎はほんとドクズやな~
うっかりああいう薄情自己中男を選んじゃアカンで。恋人に止めておくべし。
恋人でも無理。#風立ちぬ— みみか (@VEnPvErxnp8zsFA) April 22, 2019
しかし、堀越二郎がひどいと言われてしまう理由としては、ただの飛行機オタクでなく、そのために自己中心的になってしまうところにあります。
まずは、他人というものに興味がなく妹との約束はすっぽかしてしまいます。それも何度もです。
また、上司の話も聞いているのか聞いていないのかわからない様子です。
そして極めつけは、妻である菜穂子の化粧にまったく気付かないというのもひどいですよね。
たまにならあるのかもしれませんけれども、はたから見ているとそう思ってしまします。
とはいえ、何かに夢中な男性というのはその女性にとっては、魅力的なものなのでしょう。
菜穂子は、重い結核を患っています。
しかし映画のシーンでは、堀越二郎は菜穂子の前で煙草を吸っています。現代ではちょっと考えられない行動ですよね。
また、重病の菜穂子を病院から連れ出すという行動にも出ています。
結核は感染もする病気です。どのような理由があれこちらも衝撃の行動といえるかもしれません。
とはいえ、当時の日本では男性の喫煙率は高く、そしてなによりも、菜穂子は喫煙のたびに二郎が外に行くのを嫌がっていたという理由がありました。
少しでも二人でいたいという菜穂子の気持ちを尊重しての行動だったのです。
また、菜穂子を連れ出した理由についても、菜穂子が二郎と少しでも多く外の世界を2人で見たいという意向を汲んでの行動でした。
堀越二郎が特高に追われた理由、最後は死んだかもしれない理由
特高とは、特別高等警察の略です。
国の治安維持のために設置された警察で、反政府的な人物や国家転覆をもくろむスパイなどを取り締まることを目的としていました。
二郎が特高に追われるシーンがありますが、その理由としては軽井沢で二郎と菜穂子を結ぶきっかけとなった外国人、カストルプとの接触があります。
カストルプは、当時、特高がスパイ容疑でマークしていた外国人でした。
モデルとしては、ソ連のリヒャルト・ゾルゲというスパイではないかと考えられています。
その当時は、スパイ容疑の人物と接触を図る日本人はソ連側の共産主義的な人物、共産分子と考えられてもおかしくない時代でした。
当時の日本は、ソ連からの共産主義の脅威にもさらされていた時代でした。
二郎はラストで、カプローニとともに夢とも現実ともつかない場所にいます。そして妻菜穂子が「生きて」と呼びかけます。
このシーンは、二郎が生きているから「生きて」と呼びかけているのですが、どうして二郎が生きているのか死んでいるのかどちらなのかという疑問がでるかというと実は、もともと「生きて」のセリフは「来て」だったからです。
天国の菜穂子が生きている二郎に「来て」と言う、二郎は天国に行くという解釈ができるからです。
そして、ラストの二郎とカプローニがいた場所は、天国と地獄の境目ではないかと言われています。
戦争で人々を殺す兵器を作った二人が最後の審判で裁かれているところをイメージしているのです。
そこで菜穂子は「生きるのだ」と精一杯伝えているのです。これは、2人への救済と考えることもできますね。
まとめ
「風立ちぬ」の堀越二郎は、実在の人物で1920年代から1940年代にゼロ戦の設計者として活躍した人物です。
堀辰雄の私小説「風立ちぬ」の主人公「私」を堀越二郎に置き換え、映画「風立ちぬ」としてオリジナルアニメとして製作されています。
映画の中で二郎は、煙草を菜穂子の前で吸ったり、病院から連れ出したり、気遣いのできないひどい人間のように描かれていますが、それらはどれも菜穂子の希望で2人の時間を一緒に過ごしたいからというものでした。
二郎が特高に追われるシーンがありますが、それは軽井沢で二郎と菜穂子の恋のキューピットとなったカストルプと接触していたからでした。カストルプは、特高からスパイとして容疑をかけられていたのです。
最後で二郎は、菜穂子とともに天国に行ってしまうような噂もありますが、菜穂子が「生きて」といった通り生き続けます。
実在の堀越二郎も1982年まで生きており、80歳近くまで生きました。
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